現在、魚の値段が高騰していく傾向にあります。
水産庁が発表している平成29年度版水産白書によると、世界の漁業・養殖業を合わせた生産量は増加し続けています。しかしながら漁船漁業は1980年代後半からは横ばい傾向にあるため、生産量の増加に寄与しているのは、養殖業の存在が大きいとされています。
養殖業が生産量の増加に寄与しているにも関わらず、魚の値段が上昇していることには、いくつかの理由があります。代表的なものは以下の3点です。
温暖化による海水温の変化や魚の取り過ぎを原因として、日本近海で天然魚が減少しています。食卓になじみの深いホッケやアジ、サバなどの資源量は減少傾向にあるため、値段が高騰してしまいます。
また、魚の取り過ぎという問題に関しては、日本においては漁獲量を制限する規制が少なく、成長前の魚の捕獲を禁じるサイズ規制がありません。そのため、何らかの原因で水揚げ量が減ってしまうと、収入を確保するために小さいサイズの魚まで捕獲し、資源量減少の流れを食い止められないという状態になってしまいます。
魚の養殖に使われる餌は魚粉という、イワシやアジなどの天然魚を砕いたものが主原料に使われています。天然魚は乱獲などを原因に数が減っているため、調達コストが上がっています。そのため魚粉の価格が高騰し、餌が高くなるから養殖魚の値段も高くなるという悪循環に陥っています。
健康志向から、世界中で魚食がブームになっています。特に中国や東南アジアをはじめとした新興国・地域における需要が急増しています。
最も消費量を伸ばしているのは中国です。都市部における魚の需要の増加に対応するため、養殖を中国全土で行っています。中国の養殖は世界全体の4割を占めるまでになっています。これにより魚粉の需要が上がり、国際価格は10年で2倍にまでなりました。
日本では魚粉をチリやペルーなどの南米地域から輸入をしていますが、中国での需要増加の影響を受けて、思うように調達ができない状態になっています。
このような状態を打破するには、漁業従事者たちによる自主的な規制ではなく、国などの公的機関による規制強化が必要であると考えられます。
たとえば、絶滅危惧種に指定された大西洋クロマグロは、漁獲量を従来から実質8割削減し、3歳未満の幼魚は原則漁獲禁止、さらに産卵場となる地域では産卵前の親魚を効率よくとることのできる巻き網漁の漁期を1年から1か月に縮めました。これらの規制と徹底した管理により、大西洋クロマグロの資源量は6年で3倍以上に回復しました。
日本でも同様の規制と管理を行うことで、資源量を保ちつつ漁業従事者の収入を確保することができることでしょう。規定サイズ未満の魚を取らないようにするには、網の改良の他にも高性能なソナーを使い、魚群を構成する魚の情報をきちんと計測すると良いでしょう。
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